メリーベル・ガジェットは
道化師(ピエロ)の衣装を着ている。中世ヨーロッパでは各国の王、貴族が宮廷道化師(*1)を雇っていた。ギンガナム家は
ムーンレイス王家の一つであり、メリーベルも宮廷道化師として雇われたと推測される。王家当主たる
ギム・ギンガナムに対する無礼な態度が中世ヨーロッパの宮廷道化師のそれと共通している。なお、メリーベル・ガジェットの場合、自分の人生を楽しむことを優先していた点が中世ヨーロッパの宮廷道化師と異なる。
「鈴」が共通点となり、「
機動戦士Vガンダム」の登場人物、
ファラ・グリフォンのオマージュではないかと言われることもあるが、両者の本質はまったく異なる。
(
ギロチンの怨念から逃れられなかったせいか)ファラはどこか破滅的であり最後は戦死した。一方、メリーベルの本質はあくまでも道化師である。「あたしが盛り上げてあげるよ」と言って
∀ガンダム対
ターンXの決戦を煽ったり(*2)、最終的には生き残っている。
ファラ・グリフォンの鈴はギロチンの死を呼ぶがメリーベル・ガジェットの鈴は宮廷道化師としての飾りにすぎない。
運河人以下の身分であったという以外、メリーベル・ガジェットの経歴は謎である。ムーンレイスの身分制度では運河人は最下層に位置する。その運河人以下ということは裏社会に身を置いていた時期もあるかもしれない(*3)。
他に頼る伝手がないためか最終話「黄金の秋」ではグエン・サード・ラインフォードと供にガリア大陸を目指している。ギンガナム艦隊の重要人物の一人であり逮捕されれば罪に問われることは確実である。「馬鹿にするしがいがあるボンボン」(*4)と一緒に行動することにより、メリーベル・ガジェットなりの道化師人生第2章が始まっているのかもしれない。
【補足】
(*1)宮廷道化師に馴染みがない方は漫画「
風の谷のナウシカ 第7巻」(
宮崎駿著、
徳間書店発行)をお勧めする。
(*2)最終話「黄金の秋」参照。ファラ・グリフォンならば破滅的に自ら∀ガンダムに挑戦したであろう。
(*3)テレビアニメ本編を視聴しているとムーンレイス社会は裏社会と無縁のような印象を受けるが実際は小規模ながらも存在したと考えられる。外伝漫画「
∀ガンダム 月の風」(
安田朗著、
角川書店発行)では裏社会の犯罪組織「アラクーダ」が描かれている。
(*4)第47話「ギンガナム襲来」参照。